帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の4月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0・3ポイント増の46・5と、3カ月連続で改善した。「国内景気は好調な輸出や生産が寄与し、回復が続いている」と同社。業種別では、旅館・ホテルが同0・5ポイント減の48・9と、3カ月ぶりに悪化した。10の業界別では、8業界が改善、2業界が悪化した。
このうち旅館・ホテルを含めたサービスは同0・5ポイント増の50・9と、8カ月連続で改善。専門サービス、人材派遣・紹介など7業種が改善。旅館・ホテル、飲食店、娯楽サービスなど7業種が悪化した。
運輸・倉庫は同1・4ポイント増の47・0と、2カ月連続で改善。宅配便取り扱い個数の増加が続く中、トラック輸送にかかる景況感が改善した。
製造は同0・4ポイント増の46・7と、3カ月連続で改善。好調が続く半導体関連の輸出を受けて、半導体製造装置製造を含む機械製造などの業種で改善した。
悪化は建設(49・0、同0・3ポイント減)、小売(39・8、同1・3ポイント減)の各業界。
10の地域別では、9地域が改善した。
このうち九州は同0・4ポイント増の49・1と、2カ月ぶりに改善した。観光需要が回復を示す中、娯楽サービスや飲食店などのサービスが同1・3ポイント増と改善した。地震から1年が経過した熊本は、復興関連に伴い運輸や食品小売などが押し上げ要因となり、5カ月連続で改善。景況感は47都道府県中、第2位と高水準で推移している。
北海道は同0・4ポイント増の44・3と、3カ月連続で改善。昨年の台風被害からの復旧復興を含む公共工事の増加があり、景況感も改善した。
北関東は同1・2ポイント増の46・6と、2カ月連続で改善。10地域中、最大の改善幅となった。
悪化は中国(46・1、同0・2ポイント減)の1地域。
景況感に関する主なコメントは次の通り。
「リニア新幹線のアクセス関連工事が具体化している」(現在、良い、一般土木建設工事)。
「地元へのインバウンドや国内観光客数が4年連続で過去最高を更新した影響を大きく受けている」(現在、良い、食肉卸売)。
「韓国のTHAAD配備計画に伴い、中国旅行者が韓国から離れ日本に来ており、一時的な活況を呈している」(現在、良い、化粧品小売)。
「2016年4月の熊本地震からの復興需要で県外から多数の方が復旧のため尽力されており、その方々が飲食店を利用されているのが大きい」(現在、良い、酒場、ビヤホール)。
「大阪市内は、インバウンドに加え、北梅田の開発や新路線の延長、ホテルの建築ラッシュなど、不動産会社として動けることはとても多い」(先行き、良い、不動産代理業・仲介)。
「当分の間、インバウンド効果が続くことが見込まれる」(先行き、良い、旅館)。
「高齢化および人口流出による市場の縮小や労働力の不足が見込まれる」(先行き、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。